2022.12.13
認知症予防に効果のあるゲームとは?
近年、65歳以上の割合が人口の21%を超えた【超高齢社会】と叫ばれはじめて早10年以上が経ちました。また、団塊の世代(およそ800万人)が75歳以上の後期高齢者となり、日本の高齢化に拍車をかけると言われている「2025年問題」も目前と迫っています。
日本の高齢化は世界と比較しても類を見ないほど深刻だと言われており、ここにきて「健康維持」や「認知症予防」などが改めて注目を集めています。
本記事では、その【認知症予防】と、B-DASHが取り扱っているeスポーツなどの【ビデオゲーム】との関係から、認知症予防に適したゲームをご紹介します。
目次
■なぜゲームが認知症予防によいのか
ひとくちにゲームと言っても、トランプなどのカードゲームやボードゲーム、高齢者施設や敬老会などで実施されている身体を動かすようなレクリエーションゲーム、そしてスマホゲームやビデオゲームなど様々な種類のものがあります。
しかしすべてに共通して言えることは、「認知機能の維持」に適した脳を活性化させる効果があるというこうとです。
人間の認知機能は脳の前頭前野という場所が司っており、その機能は「考える」ことや「記憶する」こと、「感情などをコントロールする」ことや、「集中する」ことなど、思考や感情といった認知機能と深い結びつきがあります。
逆にこの前頭前野が衰えることで、感情的になったり、物忘れが増えたり、思考能力が低下するなどの症状が現れてきて認知症発症の危険因子となり得るのです。
ここではゲームによる認知機能への効果をご紹介します。
・脳を活性化させる
どのようなゲームにおいても、ルールや操作を「覚える」ことや、次の行動や手札を「考える」ことなどが必要になります。また、全身だけでなく手先だけでも「身体を動かす」ことができます。このような動作・思考が前述した前頭前野を刺激し、脳を活性化させることが期待できます。
・他者とのコミュニケーション
ひとりでできるゲームもありますが、やはり複数人で行うゲームのほうが他の人たちとの交流が生まれます。高齢者の方でよく聞く事例としては、身体能力の低下などにより外出機会が減り、他者との交流を図る機会が減ってしまう、というものがあります。コミュニケーションは脳に刺激を与えることができ、交流によって暗くなりがちな気持ちを前向きにする効果も期待できます。
・生活のメリハリ
普段の生活では、どうしても同じことの繰り返しとなってしまうことがあり、脳への刺激低下はもちろんのこと、生きがいや自分らしさなどの生活の質(QOL)を低下させてしまいます。ゲームを通して、日常とは違う楽しいと思える時間を過ごすことで生活にメリハリが生まれ、生活の質の向上にもつながります。
■どのようなジャンルのゲームがある?
それではどのようなゲームのジャンルがあるのか、ここではテレビゲームをメインにその種類をご紹介します。
・パズルゲーム
高齢者の方でも扱いやすい代表格としてパズルゲームがあります。ルールが簡単な物が多く、それでいて考えながら遊ぶことのできるゲームとなっています。また、近年ではパズルゲームでの対戦も盛り上がりをみせており、コミュニケーション機会としてもおすすめのジャンルとなっています。
・リズムゲーム
リズムゲームも簡単に遊ぶことのできるゲームジャンルの一種といえます。ルールの分かりやすさはもちろん、音楽というジャンルは高齢者の方にも親しみのあるものといえるでしょう。直感的に操作できるものが多く、難易度設定を行うことによりプレイする人それぞれの能力に応じて遊ぶこともできます。
・FPS、TPSゲーム
FPS、TPSとはシューティングゲームの種類です。FPS(ファースト・パーソン・シューター)は一人称視点でプレイするシューティングゲームのことで、TPS(サード・パーソン・シューター)は三人称視点でプレイするシューティングゲームのことを指します。
高齢者の方とシューティングゲーム、というと一見かけ離れたもののように感じる人もいるかもしれませんが、近年ではeスポーツ(ビデオゲームなどを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称)の発展に伴い国内外で高齢者チームなども発足しており、スウェーデンでは平均年齢71歳のFPSチームが活動していたり、日本でも秋田県にシニアeスポーツチームが発足するなど、その人気はとどまる所を知らない状況です。
武器などを用いて対戦するシューティングゲームは操作性の難しさなどがあり、思い通りに遊べるまで時間を要するゲームといえるでしょう。その反面、思考力や判断力、反射神経などを求められるので脳への刺激が高く、「やり込み」といううえでは、他のゲームよりもより高い達成感が得られるかもしれません。
・スポーツゲーム
野球やサッカー、はたまたオリンピック種目まで、スポーツゲームはその幅広さが人気のジャンルです。スポーツがもとから好きな方はもちろん、そこまで詳しくない方でも、シンプルにコミュニケーションと対戦というところでは、非常にマッチしたゲームジャンルといえるでしょう。
・シミュレーションゲーム
シミュレーションゲームは物事、人生などを疑似体験できるゲームです。シミュレーションゲームのなかにも「戦略、歴史、経営、育成、鉄道」など、体験できるものは様々であり、自分の好みや興味に合わせて遊ぶことができます。対戦などがないものが多いためコミュニケーションを図ることは薄くなりますが、他のジャンルのように競ったり、時間やスコアに追われることが少ないため、のんびりゲームを楽しみたい方におすすめです。もちろん、思考力や判断力など、脳に刺激を与えることのできるゲームもたくさんあります。
■おすすめの認知症予防ゲーム
◇パズルゲーム
・ぷよぷよeスポーツ
公式サイト:https://puyo.sega.jp/PuyoPuyo_eSports/
対応機種:PS4、Switch、PC
対戦・協力プレイ:可
パズルゲームで現代の代表作といえば「ぷよぷよシリーズ」が一番に挙がるでしょう。その中でもeスポーツに特化した本作はストーリーモードが存在せず、対戦がメインのソフトとなっています。もちろんひとりプレイでCPUと対戦したり、レッスンモードでルールを一から教えてくれたりしますので、初心者でも安心して始めることができます。
◇リズムゲーム
・太鼓の達人シリーズ
公式サイト:https://taiko-ch.net/index.php
対応機種:PS4、Switch、Xbox One / Xbox Series X|S、PC(ソフトによる)
対戦・協力プレイ:可
こちらもリズムゲームの定番「太鼓の達人」シリーズをおすすめします。操作の簡単さ、難易度設定による遊びやすさ、家族や友人とわいわい遊べる気軽さなど、どの年代の方でも充分楽しめることができるゲームとなっています。対応機種はソフトによって様々ですが、幅広いゲーム機で販売されているため、始めやすさもあるでしょう。
コントローラーでの操作だけでなく、太鼓の達人専用コントローラー「タタコン」も、身体を動かすには最適で、より直感的なプレイの手助けをしてくれるためおすすめです。
◇FPS、TPSゲーム
・Fortnite
公式サイト:https://www.epicgames.com/fortnite/ja/home
対応機種:PS5、PS4、Switch、Xbox One / Xbox Series X|S、PC
対戦・協力プレイ:可
Fortnite(フォートナイト)はTPSゲームの中でも比較的ポップな世界観のゲームとなっています。最近のFPS、TPSゲームは基本プレイ無料のものが多く、その手軽さから敷居が低く誰でも気軽に遊ぶことができます。その中でもフォートナイトは、他のFPSやTPSゲームと同様にひとりでも複数人でも協力してプレイできるのはもちろん、戦い以外の遊び要素が多いことが特徴です。自分の好きなようにゲーム内で建築を楽しめたり、ゲーム内でミニゲームを遊ぶことができたり、キャラクターの見た目を変えることができたりと、「遊び」をふんだんに感じることのできるゲームだといえるでしょう。
ジャンル紹介でも説明したようにシューティングゲームは操作の難しさがある一方で、脳への高い刺激が期待でき、満足度も得られるものとなっていますので、是非一度プレイしていただきたいゲームのひとつです。
FPS、TPSのその他おすすめソフトはこちらの記事でも紹介しています。
◇スポーツゲーム
・eBASEBALLパワフルプロ野球2022
公式サイト:https://www.konami.com/pawa/2022/
対応機種:PS4、Switch
対戦・協力プレイ:可
野球好きな方はもちろん、そうでない方にもおすすめの野球ゲームはやはり「パワプロ」シリーズでしょう。ゲームが苦手でもプレイできるように「押すだけ」で打てたり、「守備はおまかせ」にできたり、自分のスタイルに合わせてカスタマイズできるのが魅力。もちろん、カーソルを合わせて打つ、細かいところにボールを投げこむなど難しくもでき、様々なモードでのやり込み要素も多いため、飽きのこないゲーム体験ができると思います。
・FIFA23
公式サイト:https://www.ea.com/ja-jp/games/fifa/fifa-23
対応機種:PS5、PS4、Switch、Xbox One / Xbox Series X|S、PC
対戦・協力プレイ:可
ワールドカップ年でもあった今年は、日本代表の快進撃もありサッカー人気に再び火が付いています。そんなサッカーゲームの世界的に人気なタイトル「FIFA」シリーズ。一昔前は「ウイニングイレブン」(現:eFootball)シリーズが日本でのサッカーゲームの主流でしたが、近年ではゲーム内の登録チーム数が多く日本のJリーグも登場している「FIFA」シリーズも人気を博しています。
操作性は慣れるまで少し癖を感じるかもしれませんが、自分のレベルに合わせて難易度を調整することにより、比較的気楽に楽しむことができます。リアルなサッカーのように瞬時の判断が必要になる場面もあるため、手に汗握るゲーム体験ができることでしょう。
(海外のゲームのため、日本人選手の顔のグラフィックが似てない部分もあります…)
◇シミュレーションゲーム
・信長の野望 新生
公式サイト:https://www.gamecity.ne.jp/shinsei/
対応機種:PS4、Switch、PC
対戦・協力プレイ:不可
歴史シミュレーションゲームの代表作「信長の野望」シリーズの最新作。信長を始めとした魅力的武将達と君臣一体となり天下統一を目指すこのゲームは、知略・戦略を用いて進めていくため、思考をフル回転させます。「こっちを攻めるとあっちが攻めてくる」「どこと外交を結ぶべきなのか」など、まさに自分が戦国時代を疑似体験できるようなゲームとなっており、歴史ファン必見のタイトルです。
・牧場物語 Welcome!ワンダフルライフ
公式サイト:https://www.bokumono.com/series/welcome/
対応機種:Switch
対戦・協力プレイ:不可
※2023年1月26日(木)発売
牧場生活を体験できる「牧場物語」シリーズの最新作。最新作といっても2003年に発売されたタイトルのリメイク作品となっています。牧場物語は、野菜に水をやり、牛やニワトリなどの家畜を育て、収穫した野菜や副産物を出荷して生活する。料理をしたり釣りをしたり、町の住民と交流をしたりと、いわゆる「ほのぼのゲーム」ですが、今作は一味違います。今作では結婚し、子どもができ、子供が成長し、自分が老いていく、という人生がテーマとなっており、ある種の人の一生の追体験ができるものとなっているのです。難しいプレイなどはなく、のんびりプレイしたい方におすすめのタイトルとなっています。
■ゲームで遊ぶうえでの注意事項
せっかくゲームに取り組んでも、疲労やストレスを感じては認知症予防の効果が得にくくなります。
遊ぶ上で注意していただきたいことは、
・プレイすることが苦にならないものを選ぶ
・こまめに休憩をとる
・勝負ごとにこだわりすぎない
・相手に無理強いをしない
といったことを気を付けていただきたいです。
特に、興味もなく楽しく感じないことをすることは苦痛に感じるでしょうし、長時間のプレイは逆に身体に悪い影響を与えてしまいます。プレイする本人が楽しんで遊べること、1時間に1回は休憩時間をはさむようにし、1日で長時間プレイをしないことを大事にしてください。また、プレイ中の姿勢なども気にかけ【無理なく遊ぶ】ということを意識していきましょう。
■【認知症予防 × ゲーム】まとめ
ここまで認知症予防に効果のあるゲームをお伝えしてきましたが大事なことは、【頭や身体を使うことで脳に刺激を与え、人とのコミュニケーションを図り、無理せず楽しむ】ということです。
筆者の私は介護福祉士の資格を取得しているため、様々な認知症の方と接することがありましたが、そこで感じたことはやはり、「生きがい」をどのように感じてもらい、「生活の質」をいかに向上できるか、というものでした。楽しいと思えること、人との関わりなどが少なくなると、日がな一日テレビやラジオなどに時間を割き、頭を刺激することが少なくなってしまいます。(現代でいえば、ぼーっとスマホをいじる、そんな時間も当てはまるかもしれません)
認知症を予防するためには頭を使うことはもちろんですが、やはり心を晴れやかに生き生きとした時間を生み出すことが大事なのだと感じます。
是非みなさんもゲームを通して、生き生きできる時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。